軽油税増税、道路税割戻し、発電業者に炭素税を導入……激動のシンガポール税改革

シンガポールで税制改革 酒類の免税品持込み制限や軽油税引き上げを検討

シンガポール・ヘン財務相は税制改革で、酒類の海外からの免税での持ち込み許容量を、4月1日付で3リットルから2リットルに引き下げると発表しました。物品・サービス税(GST)免除で持ち込める商品の額は、国外にいた時間が48時間未満の場合、これまでの150ドル(約12,200円)から100ドル(約8,150円)に。48時間以上の場合は600ドル(約49,000円)から500ドル(約40,750円)に引き下げるという内容で2月18日付で施行しました。

海外に拠点がある業者がシンガポールの客に販売する商品・サービスに対するGST課税(通称ネットフリックス税)の導入は今回は見送りました。 また、政府は18日付でディーゼル油(軽油)税を、これまでの2倍の1リットル当たり0.2ドルに引き上げました。排ガスの少ない車両への買い替えを促す目的です。

また同時に、税を割り戻し軽油税引き上げに伴う負担増を軽減します。 タクシー、バス、商用車は多くがディーゼル車であり、ディーゼル乗用車とタクシーに対する特別税を恒久的に割り戻す方針です。スクールバスに対する税割り戻しを復活させ、ディーゼルエンジンの商用車の持ち主には3年間、道路税を割り戻します。

発電業者に炭素税を導入 課税で温室効果ガスの削減を目指す

それに重ね政府は2019年、炭素税を導入する方針を決定しています。温室効果ガスを年に2万5,000トン以上排出する企業に課税するもので、税額は2023年まで1トン当たり5Sドル(約410円)となります。

炭素税は環境保全の目的で二酸化炭素の排出に対して課す税であり、2030年までには同10~15Sドル(約820~1,230円)に引き上げる予定で、対象となるのは発電業者で、セムコープ・インダストリーズ(SCI)、ケッペル、マレーシア系YTLパワーセラヤなどが含まれます。

SCIの17年度の年次報告によれば、温室効果ガス排出量は16年の1,540万トンに対し17年は2,300万トンに増加。増加はインドの石炭火力発電所を含めた結果と推測され、SCIはシンガポールだけの排出量を明らかにしていません。OCBC銀行のアナリストによると、セムコープにかかる炭素税の年間負担は2,000万Sドル以下(約16億3,940万円)。また2017年度決算でみれば純利益(連結ベース)の10%以下となります。

そして負担の一部は消費者に転嫁の可能性があるため、実際の利益への影響はもっと少ないと考えられます。炭素税が電気料金に反映されることはほぼ確実ではありますが、財務省広報官によると、発電会社が炭素税負担をすべて消費者に転嫁しても、今年第1四半期の料金と比較して0.9%の値上げにとどまるとのことです。

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