シンガポールとマレーシアの領空・領海問題で両国の外務相が会談
昨年10月、マレーシアがジョホールバルの港湾制限を一方的に延長、そしてその後のシンガポール海域へのマレーシア政府船舶の侵入が原因となって勃発した、シンガポールとマレーシアの領空・領海問題。領空問題はシンガポールがセレター空港の新ターミナルの運用開始に合わせ、マレーシアに事前通知なく、ジョホール州パシル・グダン上空の航路利用を意図したというマレーシア側の主張が発端となりました。
1月8日、シンガポール外務省でビビアン・バラクリシュナン外相とマレーシアのサイフディン・アブドラ外相との会談が開かれ、事態をエスカレートさせないことで合意しました。領空問題解決に向けた建設的な話合いが行われる中、マレーシアが一方的に設置した飛行制限区域は1ヵ月凍結。またシンガポール当局による計器着陸装置(ILS)の導入計画も一旦白紙となっています。
この会合はそれぞれ一方的に施行した措置を凍結し、実務レベルの会合を通じ解決を目指していたものです。 会談後の共同記者会見でシンガポールのバラクリシュナン外相とマレーシアのサイフディン外相は、対等、相互尊重を基盤に関係を維持、改善すると表明し、両国が平等と相互尊重に基づいて二国間の関係を改善していくことを強調しています。
これについて両国は外務事務次官を中心とする合同作業グループを設け、法律面、運営面から問題点を協議し、交渉の基盤を築いていく方針です。2カ月以外にそれぞれの外相に結果を報告する予定であり、 バラクリシュナン氏は「両国は永遠に隣国であり、常に建設的、協力的関係を持つことが欠かせない」と述べています。同じくサイフディン氏は「両国の関係は長く、将来進むべき道は関係強化しかない」と応じています。
12月25日、シンガポールがセレター空港に計器着陸システム(ILS)を導入したことに対し、マレーシアは領空の主権にかかわるとして、パシル・グダン上空を飛行制限エリアに指定しました。この高さの空域を通過する民間航空機はマレーシア空軍の事前承認を得る必要が生じます。
今回の会談において、マレーシアは飛行制限エリアの凍結を約束し、シンガポールはILSの運用を停止します。領海紛争においては、マレーシア政府がジョホール・バル港の境界をシンガポールがある東側に広げたことに対し、シンガポールがシンガポール領海を侵すものと反発し、港湾境界線をマレーシアに広げる対抗措置を取りました。