トランス脂肪酸の輸入販売を全面ストップへ
クッキーやドーナツなどに含まれていることが多いトランス脂肪酸について、タイ保健省は、製造、輸入、販売を来年1月より禁止することを発表しました。
ベーカリー店などへの大きい影響が考えられますが、セントラル・フードホールやトップスなどを統括するセントラル社によると、すでにベーカリーなどでは使用をしておらず、影響はないとしています。
ベーカリーなどに含まれている食品添加物と報道され、消費者のベーカリー離れの恐れもあるとされていますが、ベーカリーショップなどもあるS&Pによると「10年前からトランス脂肪酸を使用していない」としていて消費者向けの安全性をアピールしています。
この発表は来年1月9日に正式に発効する見通しとされていて、違反すると最大懲役2年の禁固刑か20,000バーツ(日本円66,000円)の罰金が課されます。
アメリカでも2020年までに使用が完全禁止となるようですが、公布されたのは2015年。タイでは今年の7月に発表されたばかりなので、8ヵ月以内の急な規制となりました。
トランス脂肪酸の危険性
トランス脂肪酸は「油が固まった状態を保てるように水素を加えたもの」です。室温でも固まった状態でいられるので、主に加工食品の保存期間を延ばす目的で使用されます。
パンやクッキーなどの焼き菓子だけではなく、スナック菓子やカップラーメンなどの多くの加工品に使われています。サクサク感やしっとり感も与えてくれ、油っぽさも無くしてくれます。マーガリン、マヨネーズ、ファーストフードにクリーム系食品……私達は知らずのうちに日々トランス脂肪酸を摂取しているのです。
それではなぜそんなトランス脂肪酸が順次規制されているかというと、トランス脂肪酸は大量摂取することで悪玉コレステロールを増加させることが分かっているからです。
悪玉コレステロールは血管の内側に蓄積することで血管を詰まらせ、心臓や血管に疾患を与えるリスクが高まります。動脈硬化や心疾患などの重大なリスク増大に発展する上に、認知症やアレルギーの悪化とも関係していいます。
日本の対応は?
ですが2018年8月時点で、日本ではトランス脂肪酸の含有量の表示義務はありません。日本は他国に比べて成分表示の規制が甘く、「植物油」「サラダ油」と書いてあるものにもトランス脂肪酸が含まれていることがあります。
消費者庁は情報開示をするように推奨していますが、現時点ではそれは義務ではありません。ちなみにアメリカや、近隣国の韓国、香港、台湾などでは、早々に表示義務を取り入れていますので、日本の対応はかなり遅れていると言えるでしょう。
日本ではそもそも、トランス脂肪酸が何なのか、何に含まれていて、どういう危険性があるのか、まだまだ認知が行き届いていない印象です。これを期に改めてトランス脂肪酸の持つリスクや危険性を理解し、日々摂取する食品の成分をコントロールすることが望まれます。