シンガポールでは5分の1以上が異民族同士の結婚
今シンガポールでは、国際結婚が急増していることをご存知でしょうか。例えば中国系とインド系住民のカップルなど、異なる民族間の結婚が増加しています。統計局によると、昨年は結婚届け出のうち22.1%(2007年は16.4%)が異なる民族間の結婚だったとのことです。全体の結婚の5分の1以上が異なる民族間で行われたことになります。(参考:http://www.asiax.biz/news/47075/ )
同民族同士で婚姻関係を結ぶ、という伝統的志向の変化
この異民族間同士の結婚の増加の背景として、社会学者は
「シンガポールに就労、留学する外国人の増加と海外に出るシンガポール人の増加、および教育水準の上昇で相手の見掛けや特定の価値にとらわれることが少なくなり、同じ民族に属する者と結婚したいという伝統的志向の変化を遂げている」
とコメントしています。またシンガポール経営大学のストローガン氏は「結婚はほかの民族に対する受容力の最大のものであり、シンガポールはまさにるつぼである」と述べています。
複合民族国家であるシンガポール。移民受け入れが積極的であることも理由?
シンガポール国民の人口比率は、華人(中華系)が74%、マレー系が14%、インド系(印僑)が7.9%、その他が1.4%となっています。華人、マレー系、インド系からなる複合民族国家のため、公共メディア、文化一般に3系統の文化が共存しています。
元々シンガポール政府は民族問題に敏感です。例えば国に代表されるタイプ住宅ブロックでは、ブロックごとに住民の民族比率がシンガポールの民族比率と同じようになるように民族別に入居者数が配分されています。特定の民族同士で固まらないように配慮されているのです。
それに伴ない、シンガポールでは異民族同士がコミュニケーションを取りやすい環境が他国以上に備わっているとも言えるでしょう。さらに政府は労働力確保のため、国民の根強い反発を受けながらも移民を推進しています。
イスラム教徒と異民族間の婚姻が特に急増
特に昨今で増加しているのが、イスラム教徒(マレー系人)と他民族間での結婚です。昨年はイスラム式結婚のうち38%(16年は33.9%)が異民族間結婚であり、民事法に基づく異民族間結婚のうち、イスラム教徒とほかの民族の者との結婚の割合は17.7%(同18.2%)だったとのことです。昨年の結婚数は2万8,212件であり、これは前年より0.6%増加した数値になります。そして成立した離婚は7,578件で、前年よりわずかにですが減少しています。
民事法に基づく異なる民族間の結婚で最も多いのは、中国系男性とその他(中国系、マレー系、インド系、ユーラシアン、白色人種以外)の民族の女性との結婚。この数は47.7%を占め、中国系男性と近隣の外国の女性との結婚がこの代表例とされています。
それに続いて多かったのは、白人男性と中国系女性との結婚で13.2%。最少はインド系男性と中国系女性の結婚で5%となっています。