国際的な不安定間の中で揺れるアジアのファッション産業
古くからファッション供給の世界情勢は、政治的緊張の高まりにより変化するものとされています。米中貿易戦争、カンボジアに対するEUの圧力、そしてバングラデシュでの賃金引上げ抗議は、ファッション業界における世界3大拠点を不安定にしています。そしてこれらの出来事はトルコとベトナムにとって有利に働きます。
トルコのファッション産業は、国際的な不安定感が高まる中にもかかわらず、技術と人材への投資により、2019年は二桁成長を見込んでいます。この点に関してトルコ政府は、5億7,000万米ドルの予算で地元ファッション産業の設備改善を支援することを約束していることから、米中間の貿易戦争を受け、世界のファッションサプライヤーとしてトルコが支持される日が近いかもしれません。
アパレル業界はベトナムの勝ち筋一択?
ベトナムの繊維産業は、2019年には11%増となる400億米ドルの輸出を計画しています。同産業は、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の調停、貿易戦争の影響を受け中国を除いた対外投資の増加により、この成長を支えることを検討しています。
米中間の貿易戦争は、他のファッション生産拠点にとっても有益だと言えるでしょう。一方で、ベトナムは欧州連合と自由貿易協定を締結しようとしています。その協定は両当事者間の貿易における既存の関税を事実上すべて撤廃するものとされ、カンボジアとバングラデシュは、それぞれのファッション産業の展望が複雑かつ不安定なため、2019年の予測がまだ見えていません。
その中でもベトナムの皮革履物産業は、2019年も引き続き成長すると見込まれています。 2018年、皮革履物製品の輸出は対前年比8.3%増加の200億米ドル近くに達しました。革製品、履物、ハンドバッグの注文は、今年調印されると期待されているEU-ベトナム自由貿易協定(EVFTA)に加えて、中国が衣料品および履物部門への投資奨励金を削減したために、中国からベトナムへと移行する可能性がありあます。まさにファッション業界はベトナムの勝ち筋が用意されているような状態だと言えます。
ベトナムもまた、最大の服飾消費市場とその主要供給者との間の関係悪化が起こっていることを利用し、自らの立場を改善したいと考えているのです。対してカンボジアの場合、欧州委員会は、当該国からのEUへの輸出関税をゼロにする「武器以外すべて(EBA)」プログラムの適用除外に向けて動いています。ですがそれにもかかわらず、当政府は最新の予測において、建築業・観光業と共に2019年の経済成長の柱の一つとしてファッション産業を掲げました。政府は、2018年に同産業の国際売上高が24.7%急増したことを考慮したものとされています。