7月 18 日の為替相場で1米ドル=1,436 チャットとなり、ミャンマーチャットの相場は過去最 低水準となっている。
一部の経済評論家は、7月末には1米ドル=1,450 チャットまで下落するのではないかと予測している。対米ドルのミャンマーチャットの相場は、2007 年9月の過去最低の1米ドル=1,405 チャットを割り込んで現在日毎に下落を続けている。2018年の前半まで1年近くにわたり、ミャンマーチャットの為替相場は 1米ドル=1,350チャット前後と比較的安定していたが、2018年6月中旬頃から動きが激しくなり、ここに来てチャット安が大きく進んでいる。7月初旬に1米ドル=1,400チャットの壁を超えたまま、今も値下がりが続いている。
2014 年には中央銀行より、航空・旅行・ホテルの業者に対して、米ドルではなくミャンマーチャットを 主に使用するよう通達が出されているが、それに従うものは少なく引き続きドルでの決済が続けられている。個人で消費する物品の 70%が国外から輸入されていると言われており、国内の経済が輸入に頼っていることが通貨下落の一因と考えられている。
通貨価値を安定させるためには、貿易に関係する法規制の緩和やラカイン州での問題の解決も必要であると考えられている。海外からの援助や融資に頼らず、輸出を増やして国内の経済を向上させることが根本的な解決策となるが、現時点 ですぐに実行できる対策を見出すのは難しいと経済評論家たちは考察している。
様々な要因が絡み合った上での現状ではあるが、ミャンマーに投資する外資企業からすれば、為替変動リスクの大きさは無視できない。事業を通じて投資金額の10%の利益を取得しても、それらが一瞬で吹き飛ぶほどに大きな為替変動が短期間で起きており(6月18日からの1カ月で 8%ほどチャット安が進行している計算)しかも、その勢いはとどまる様子もない。
事態がいきなり収束することはなさそうだが、2017年12月末頃から約1年半ほどは比較的安定していただけに、心配になる水準ではある。輸入商品が多いミャンマーだけに、「これを機にあらゆる商品が値上げ。それに伴い景気が悪化」といった事態が起きない事を願いたい。チャット安は、一体 どこまでいくのだろうか。