ベトナムの今年度の繊維・アパレル産業の行方は?
ホーチミン市で初開催された世界の繊維・アパレルサプライチェーン会議にて、多くの経済専門家はベトナムは今年、海外繊維・アパレル企業にとって魅力的な目的地になると見られており、同国は輸入市場による貿易保護主義措置の適用を回避する必要があると述べました。
昨年、ベトナムのアパレル製品と繊維製品の輸出は360億米ドルを超え、今年は400億米ドルを超えると見込まれています。世界的に見てベトナムは世界第2位の繊維・アパレル製品輸出国であることから、繊維・アパレル製品のサプライチェーンに大きな影響を及ぼしていることが分かります。
国内市場に関しては、ベトナムは繊維・アパレル産業、特に中国企業の外国投資家にとっても魅力的な目的地になると予想されます。ベトナム国営繊維企業グループ(VINATEX)の最高経営責任者(CEO)のLe Tien Truong氏は、中国は繊維原料の主要生産国の地位を保持しており、同時に世界最大の繊維・アパレル製品輸出国であると述べました。
縫製労働者の賃金を低く抑える厳しい戦術
ですがそんな華やかなベトナム繊維・アパレル産業において、ベトナムで製造する欧米のファッションブランドは「労働者の賃金を押し下げ、何百万という人々を貧困に陥れさせる「厳しい」戦術をやめなければならない」と4月11日に労働運動家らが訴えました。
世界最大級の衣料品工場を抱え、ZaraやH&Mなどのファッションチェーン供給地であるベトナムは、約300万人の従業員を擁し、6000を超えるアパレル製品および繊維製品の製造工場の本拠地です。
米国を拠点とする権利団体である公正労働協会(FLA)の新しい調査によると、多数の長時間労働、時には休憩なしで月に50時間を超える残業をこなしているにもかかわらず、その生産目標に達成できないといった事例が報告されています。FLAによって調査された1万3000人のベトナムの縫製労働者のうち、大部分は国の最低賃金の2倍以上を稼いでいましたが、それでも基本的なニーズを満たすには不足しています。
FLAのSharon Waxman会長は「ベトナム政府は最低賃金を引き上げるべきであり、ファッションブランドは労働者が公正に補償されるよう、彼らの原価ポリシーを見直さなければならない」と述べました。ですがベトナム労働省は、コメントを求める電子メールには応じなかったとのことです。
現代労働奴隷の廃止を推進する動きが増していることから、労働環境はいくらか改善しています。にもかかわらず、グローバルなビジネスの流れとして、近年サプライチェーンに労働搾取がないことを保証するよう圧力がかかっている現状です。