農業従事者と市場の架け橋。アプリ「OneFarm」
マレーシアを含めるASEAN諸国は、その豊かな土地と農場によって高品質な農作物の生産に大きく貢献しています。ですが現在、農業従事者たちは新しい農作物しか生産できずにいる状態です。市場のニーズに応えきれず、地元で人気のある農作物や馴染みの深い農作物しかほとんど生産できないのです。
この原因となっているのが「情報不足」。市場ではどのような農作物の需要があるのか、またはどの農作物にニーズが集中しているのかの情報を入手する手段が乏しくなっているからです。
そこで問題解決に乗り出したのがマレーシアのサラワク州に拠点を置くBigDex PLT社。この度BigDex PLT社は、ミンダナオ島の農業従事者の情報原不足を解決するために、市場との架け橋となるアプリ「OneFarm」を開発しました。
このアプリを利用することで、仲介業者を通す必要が無く「従事者と農作物、そして市場のニーズを直接繋げる」ことが可能となるとされています。OneFarmには生産性が高い農作物の情報などのデータが公表されていて、農業従事者の役に立つだけではなくフィリピンの食料安全保障の維持にも考慮されています。
OneFarmでは、野菜、果物、家畜、バイオ医薬品、シーフード、農業ツーリズム、手工芸品、工業機械、農業機器の9つの検索カテゴリが用意され、多くの生産者の問題を解決していくことが期待されます。
ダバオ 農業ツーリズムの注目度高まる
またダバオ農業においては、農業ツーリズムへの注目も高まっています。農業ツーリズムは、地方に対して広大な土地を保持する権利を与えるものとして、食糧安全保障に貢献しています。
Davao Region Farm Tourism Association(ダバオ地方観光農業組合)のValente D. Turtur会長は、「同ツーリズムにより地元の農場保護が進むため、全ての人々が恩恵を受ける」と述べています。
事実、ミンダナオにはいくつかの農場が存在していますが、その一部は農業ツーリズムの影響を受けて都市群に住む人々にとっての人気スポットとなっています。その1つがカリナン地区の「マラゴスガーデンリゾート」。毎年、多くのダバオ市民や国外からの観光客で賑わいを見せています。
観光省により認定を受けた農場のみが農業ツーリズムに参入できるので全ての農場が該当するわけではありませんが、農業ツーリズムを通して地方農地における農作物の維持が期待でき、環境保全にも繋がっています。