イスラム教徒の「五行」の1つであるラマダン。イスラムの暦で9番目の月を指し、1年ごとに11日ほど期間が早まるサイクルとなっています。世界中のイスラム教徒が毎年行うラマダンでは、一切の飲食を経ちあらゆる禁欲が課せられます。今年も5月にラマダンの初日がやってきました。
ジャカルタ区モスクで1万人規模のラマダンが開始 私服警官も多数配備
ラマダン初日の17日、東南アジア最大級の中央ジャカルタ区のイスティクラル・モスクでは約1万人が集まり、共にブカ・プアサ(1日の断食明け)の食事をとり、礼拝を行いました。
ラマダン月の開始と終了は、長老らによる新月の観測によって行われています。雲などで新月が確認できなかった場合は1日ずれるとされていますが、今回ジャカルタ区で行われたラマダンは暦のまま開始された見込みです。
日没30分前の午後5時20分ごろ、モスクの屋内外では、クルマ(干しナツメヤシ)や水、鶏肉などが入ったブカ・プアサ用の食事約3500食が配られました。モスクの入り口付近では家族や友人と訪れた人々が男女に分かれ、長い列をなして座り、日の入りを待ちます。
- ブカ・プアサ……プアサ(断食)ブカ(開ける)。断食明けの食事のこと。ラマダンは太陽が昇っている時間帯を断食時間としているため、日が沈む時間帯になったら飲食をすることが許される。ブカプアサは第一週は家族と、第2週は友人と、第三週は会社の人たちと楽しむのが一般的とされている。)
同5時47分に日没を告げるアザーン(礼拝の呼び掛け)が流れると、アッラーをたたえる言葉を口にした後、配られた食事や持参した料理などを味わい、その後礼拝所で祈りをささげました。
イスティクラルではブカ・プアサのために平日は3500食、金土日曜の週末は約4千食を無料配布しています。 ラマダン最初のタラウェが行われた17日には約1万5千人が集まりました。イスティクラル事務局によると、スラバヤでのテロを受けて私服警備員を多数配備。一見分からないが普段より警備を強化しているとのことです。
ラマダンは冒頭に挙げた通り、元々はイスラムのイジュラ暦における月の名です。ですが現在ではラマダンという言葉自体が断食そのものを意味するものとして見解が広まっています。
空腹や自己犠牲を経験することで、飢えた人や平等への共感を育むことを重視する目的として行われています。また共に苦しい体験を分かち合うことでムスリム同士の連帯感が強まり、多くの寄付や施しが行われます。断食中は飲食を断つだけではなく、喧嘩や悪口や闘争などの忌避されるべきことや、喫煙や性交渉などの欲も断つことにより、自身を清めてイスラム教の信仰心を強めます。