ホーチミン市ホックモン郡に住むディン・ティ・リーさん(女性・26歳)は、身長93cm、体重は30kgにも満たない小さな身体ながら、IT技術を駆使して月に1億VND(約48万円)を売り上げる会社を経営する家族の大黒柱です。
低身長症だと宣告された幼少期
リーさんは紅河デルタ地方ハイズオン省ナムサック郡の小さな村で、4人姉妹の末っ子として生まれました。3才になりやっと歩き始めたリーさんですが、8才になるころには上半身は成長したものの脚はほとんど伸びず、それをきっかけとして病院で受診をすると「ホルモン分泌不全による低身長症」であることが分かりました。
農業を営むリーさんの両親は経済的には決して豊かではなかったそうですが、家族はリーさんに惜しまぬ愛情を注いで育てました。そして「娘が多くの人と触れ合えるように」と、両親は小さな雑貨屋を村の中に開き、人々とコミュニケーションを取りながら成長していきます。
大学ではデジタル分野に特化した科目とビジネスを
多くの人々の愛情に支えられ、2009年8月にリーさんはホーチミン市自然科学大学で情報技術を専攻することになります。もとより興味と予備知識があったデジタルマーケティングに関連した科目を選択し、オンラインで仕事を請け負うように。
その最中でサーチエンジン最適化(Search Engine Optimisation=SEO)の分野に特化した仕事をするようになり、2011年にはオリジナルブランドを設立。リーさんは在学中、成績優秀で4年間にわたり奨学金を得たほか、通常より半年早く卒業するという偉業を成し遂げました。
病気を乗り越え、努力が実った「起業の成功」
現在リーさんの会社の取引実績は、国内外の企業数百社にも上ります。ですがリーさんによると「低い身長がマイナスになることもある」とのこと。現にある企業の役員は「初めてリーさんにお会いした時には、彼女にプロジェクトを受けられるだけの体力があるのか、進捗に影響しないのかなどを考えました」との言葉が。ですが「それ以上に彼女のアイデアや知識、人柄から、彼女に大きな信頼を寄せています」とも語っています。
リーさんは、会社の成長を受けて不動産投資を始め、成功しています。2014年末に初めて土地を購入し家を建て、田舎から両親を呼び一緒に暮らすようになりました。2016年初めには分割で2つ目の土地を購入し完済すると、2017年には分割で1000m2の土地を購入、現在この土地を賃貸に出しています。
2022年に30歳になったら仕事をリタイアし、体調を見ながら両親と旅行をして過ごすことがリーさんの今後のライフプランなのだとか。まさに努力と家族の愛情を実らせた、現在も一線で活躍するとある女性起業者のお話です。