インド証券取引所 Nifty50先物の海外市場取引を中止に
シンガポール取引所(SGX)とインド最大の金融市場であるインド・ナショナル証券取引所(NSE)との摩擦が深刻化しています。
NSEは2月、代表的株価指数のNifty 50を原資産とするNifty50先物の海外市場での取引を8月をもって中止すると発表し、SGXとのライセンス契約を打ち切りました。これを受けSGXは後継商品となる3つのデリバティブ(金融派生商品)を導入する計画を明らかにし、これに対しNSEは上場を阻止するための訴訟をボンベイ高等裁判所に起こしました。
SGXはインド先物、オプション、インド銀行先物を6月4日、上場する計画で、デリバティブ部門責任者のシン氏は「顧客にリスク管理ツールを提供する責務がSGXにはある」と語っています。 NSEがSGXとの契約を打ち切ったのは取引の海外流出を防ぎ、NSEでの取引を増やすのが狙いとされています。
オブザーバーによれば、ボンベイ裁判所でどのような判決が出ても管轄権がシンガポールには及ばないため執行されるかは疑問が残ります。この点はSGXも理解しており、上場の方針を変えていません。
SGXは米国商品先物取引委員会の承認も取り付けており、米国の投資家に新商品を売ることができます。 SGXの前身の1つであるシンガポール国際金融取引所SIMEX(サイメックス)でも、上場された日経225平均先物取引が日本市場のかく乱要因になっているとして、日本側と摩擦が生じたことがあります。
シンガポール 取引所の開設を奨励、多様な運営業者を受け入れ
そんな中、シンガポール金融管理庁(MAS=中央銀行)は新取引所の開設を奨励するため規制を一部緩和する見通しです。新たなデリバティブ(金融派生商品)の上場も容易にできるようにするための案を公表しました。
取引所の運営に当たる公認運営業者(RMO)を、ティア1、ティア2、ティア3の3種に分け、投資リスクに応じ監督の枠組みを調整し、 取引所運営に参入しやすくする狙いです。ブロックチェーン(分散型ネットワーク)技術を用いた取引手段など新たなビジネスモデルの創出を期待しています。
現MASは市場運営業者をシンガポール取引所(SGX)やインターコンチネンタル取引所など認可取引所(AE)とRMOの2種に分けています。RMOは、商品先物を取引するクリアトレードや債券ポータルなど。 AEは金融システム上重要な存在で、個人投資家も参加できる取引所を運営するため規制も厳しくなります。
RMOは個人投資家が参加できない市場を運営、 新規制案ではティア1 のRMOが運営する取引所に個人投資家は参加できます。市場全体にリスクを及ぼすような取引を行わないことが条件であり、ティア2の取引所は現行制度と同じままとなります。ティア3の取引所は小規模取引のための市場で、大口客向けのソリューションを開発した企業などの参入を想定しています。