マレーシア政府、6月1日から消費税ゼロ%に
マレーシア政府は16日、消費税に相当する物品・サービス税(GST)の税率を6%から6月1日付でゼロ%にすると発表しました。政権交代を実現させたマハティール首相の選挙公約通り、消費税を廃止する見通しだと財務省が電子メールで声明を配布しました。消費税ゼロ制度は全ての企業が対象となります。
オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)のエコノミスト、サンジャイ・マートゥル氏(シンガポール在勤)は「朗報でもあり悪いニュースでもある。GSTはもちろん財政赤字を拡大するだろうが、それに対応する措置が打ち出されると期待している」と述べました。
マハティール氏、選挙公約の実現へ
9日投開票の下院選で勝利したマハティール首相率いる政党連合は政権交代から100日以内の消費税廃止を公約に掲げていました。 マレーシアの消費税制度は2015年にナジブ前政権が導入し、国民の大きな不満の対象となっていました。
マハティール氏は16日、首都クアラルンプール近郊で記者会見し、4月に施行されたフェイクニュース対策法など「報道や表現の自由を抑える法律を廃止する」と説明。令状なしの拘束や家宅捜索を認める国家安全保障会議法なども廃止するとしています。
GSTからの税収源喪失によるリスクが注目される
政府は昨年、税収の18.3%に相当する438億リンギット(約1兆2200億円)をGSTから確保し、これは法人税に次ぐ大きな税収源となりました。米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは今週、マレーシアの国内総生産(GDP)の50.8%に相当する政府債務は同じ「A」等級格付け各国の中央値より高く、GSTの税収なしでは信用格付けにネガティブだと指摘しています。
フィッチ・レーティングスも同様のリスクに言及しており、同社のマレーシア担当ソブリンアナリスト、サガリカ・チャンドラ氏は消費税廃止発表後に「状況はまだ流動的だ。マレーシアのソブリン格付けを意味合いを確定する展開を注視・検証し続ける」と電子メールでコメントしています。